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pero_peroのこじんてきなにっきです。毎日書きたいです。

そろそろシンバルについて一言言っておくか

オーケストラでシンバル叩いてるやつって他と同じ給料もらってんの?

こんなまとめ記事がhotになってた。


読みながら、なるほどシンバルに触れたことがない人たちが多いのだから、シンバルについて誤解や先入観というものがあるのだなぁとヒシヒシ感じた。
吹奏楽で打楽器をやってた身として、シンバルとはどういう楽器なのかをお伝えしておく必要性を感じたのでここに書き記しておく次第である。
ちなみにここで書くのは僕が基本的に高校生の頃に学んだシンバルの基礎的な知識で、学校その他流派によって色々ちがうかもしれないことを予め逃げ道として書いておく。

 

シンバルという楽器の構造について

オーケストラで使われている合わせシンバルという楽器は、皆さんも御存知のように2つの浅いすり鉢状の金属板を打ち合わせる楽器である。
銅と錫の青銅、あるいは銅と亜鉛の真鍮といった合金で作られている物が多い。

シンバルには大きく分けて2種類ある。

  • クラッシュ系

  やや薄めで音の立ち上がりが早い。
  音色はシャーンと明るく華やか。
  余韻は短めのものが多い。

  • ライド系

  クラッシュに比べ厚めで、音の立ち上がりが遅い。
  音色もジャーンとかゴーン(大げさだけど)と言った感じで暗め。
  余韻は長めのものが多い。

 

ドラムセットで奏者から見て左側にある、キメの部分などで使われているのがクラッシュ系、右の部分でリズムを刻んだりしているのがライトライド系だ。
実は合わせシンバルは同じシンバルが2つ有るのではなく、クラッシュ系とライド系が2枚一組になっている。(ドラムセットなどとは違ってやや微妙な違いだが)
なので右手用左手用としっかりと分けられている。

 

シンバルの演奏方法

一番基本的(右利きの場合)な奏法は、左手にライド系を持ち、右手のクラッシュ系をライド系に当てて音を出す。
右手のクラッシュで華やかな立ち上がりを作り、左手のライドで豊かな余韻を作るということらしい。
教本などで習うのは左手を固定しておいて、右手を少し上から自由落下させる方法である。
この時、2つのシンバルを真並行にしてぶつけると、シンバルは吸盤のような形をしているため空気が入り込み、カパッと見事にくっついてしまうことが有る。
また、同じように空気と空気がぶつかり合って「パン」という破裂音を出してしまうことが有る。
このようなことがないように真平行にならないように少しずらして(教本にはややハの字にしてという書き方だったと思う)落下させるわけだが、あまりハの字にし過ぎると今度は2回当たってしまったりする。
打楽器奏者はこういう失敗がないように、100発100中でシンバルが当たるように、またどんな叩き方でも良い音が出るように練習するのである。

 

シンバルはとても簡単

とここまで書くと、なかなかシンバルの演奏は難しいように思えるかもしれない。
しかし大体の人は数日練習すれば90%位の確率で良い音が出るようになる。
軽めのシンバルなら練習しなくてもシャンシャカいい音が出るようになる。
打楽器奏者はここから曲に合わせた音作りなどを考えていくわけだが、現代音楽でなければ基本的にそこまで選択肢は無いので、これは基本的に他の楽器の人達に対してのパフォーマンスだと思ってもらって良い。

 

曲中の大事な部分での一発!ものすごく緊張!

しない。
基本的に打楽器奏者はどの楽器もソロ楽器のため、ミスったら盛大にバレてしまうことが多い。
どの楽器を選んでもそうなので、そんな事で緊張していたら身がもたない。
そもそも打楽器奏者はシンバル100発100中で当てられるようになっているはずなので、大事な部分の一発はミスりようがないのである。
そして打楽器奏者の多くは目立ちたがりやばかりなので、大事な部分での一発、曲の一番の盛り上がりでの一発は「美味しいシンバル」として争奪戦となる。

あのね、あの一発は本当にすごく気持ちがいいの。
他の楽器がジワジワ盛り上がってくるのを見ながら、お、そろそろかなと悠々とシンバルを持ち上げて準備して。
小太鼓大太鼓がジャカジャカ盛り上がってくるのを真横に感じながら、キュッキュと皮の持ち手を握りなおして指揮者の方をじっと見て。
すぐに金管楽器ロングトーンがぶあああああああっとクレッシェンドしてきて、小太鼓がその後をずざあああああああああっと追いかけてきて、ティンパニどろろろろろろって盛り上がってくる、左手をガッチリ握りしめて右手を大きく振りかぶった瞬間指揮者がコッチをチラリと見る、目と目があった瞬間に右手のクラッシュと左手のライドがぶつかり合い、この時一瞬記憶が飛び脳内麻薬がどぶぅああああああっとほとばしる、シャーンというアタック音と同時に両手を開いて余韻を響かせると、華やかに散ったシンバルのアタックは重厚なハーモニーに溶け込んでホール全体に広がっていく、ああエクスタシー、エクスタシー。
ほんとこの瞬間だけはミサイルが頭上に落ちてきても幸せに死ねると思うよ。

 

あ、ま、そんな感じでそんなに難しくなくて気持ちが良い楽器ですのでみなさん機会があれば叩いてみるよろし。

 

※ お手入れ方法
水分油分が付くと錆びるので素手でなるべく触らないようにする。
使い終わったらティッシュやクロスなどで指紋などを拭き取る。
表面はコーティングなどしていないので、使い終わったらケースに入れて空気に触れないように保存しておく。
クリーナーなどで磨くと研磨されてしまうので、基本使わない。