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『監督失格』がすごかった

ごく軽い気持ちで『監督失格』を観た。

あらすじはだいたい知っていて、そもそもドキュメントだし、ぶっつけで色々さらけ出していくスタイルの映像のようだから、結構ドタバタで終わるのでは、ストーリーもあってないようなものなのかなと想像していた。
ところが驚いたことに想像とは全然違い、初めから脚本があったかのようにしっかりとしたストーリーが組み立てられていた。

 

感想は色々思いつつもなかなかまとまらない。
とりあえず感じたのは、結局この物語は平野監督が由美香さんに認められるために作った物語なのではないか。
「由美香に認められたくて」と言う想いは昔も今も変わらず、
彼女の死後、この映画を通して
「泣いた顔を是非見たかったですワ」
というリクエストにようやく答えることができた訳である。
彼は最後に泣きながら自転車で走り回るという葬式を行ったが、もちろんそんなことをしても彼女の幻影は追い払えるはずはない。
多分これからも彼女の視線はずっと平野監督について回るんだろうけど、少なくとも前よりはきちんと向き合うことができるようになるのかもしれない。
そう考えると、ちょっと前向きな終わり方で良かったなと思った。

 

林由美香という女性が幸せだったかどうかは本人しかわからないところだけど、僕はやはり幸せだったのではないかと想像する。
彼女は自分の想うままに、一瞬一瞬を全力で生きる人だったのだろう。
前半部分の映画のフィルムの中には彼女の、エネルギッシュで、チャーミングで、クールで、わがままで、ちょっぴり不安定で、少し憂いがあって、そういう魅力が沢山映し出されていた。
だからこそ多くの人から愛されていて、死んでなお多くの人の心に影を焼き付けていたのだろう。

 

人は突然死んでしまう。
僕は知り合いの自殺未遂に遭遇したことがあった。
その時は一命を取り留める事が出来たが、地元に帰り数年経ったある日、その人は思い出したかのようにまた自ら命を絶ち、今度は本当に死んでしまった。
僕とはそこまで縁が深い人ではなかったのだが、時々その人のことを思い出して、ふっと命を絶ってしまうという行為について想いを巡らせることがある。
幸せであっても、何かの拍子にふと死んでみてしまうことも有るのだろう。

 

正直見ながらボロボロ泣いてしまったのだけれども、悲しい涙でなくて、なんだろう、ちょっと「良かったね」という感じの涙だった。

 

頑張って生きていきましょうね。