病院受診まで
4〜5年前から人間ドッグで胆嚢に石がありますねーと言われていたのだけれど、すぐに取るようなものでも無し、良きパートナーとしてずっと共存している人もいるとのことでまあいいかと放っておいた。
ところが最近保険を見直しを行ったところ、がん保険の一部で胆石がネックになって通らないという。
なんでも胆石を放っておくと胆嚢炎になり、最悪癌化することもあるという事らしい。
それとは別に、重たい肉を食べると右腹が疼いたり、生卵を食べられなかったり(迷信ぽいが生卵を食べると石が暴れるというので避けていた)と食生活に実害も出ている。
この機会にともかく診察だけでも受けてみようかという事で、妻氏が治療を受けた(妻氏は胆石の先輩である)病院に行ってみる事になった。
診察を受けに行ったS病院は専門が痔らしく、何処からも紹介をもらわずに胆石で受診したい旨を告げると珍しかったのか、受付で「胆石で?紹介状は無く?」と何度も確認された。
それでもなんとか診療してもらい、血液検査とレントゲンをした後主治医のお話へ。
先生はレントゲン結果を見ながら「実はレントゲンって胆石透けちゃうのであまり見えないんですよね(じゃあなぜ撮った)。まあ人間ドッグで言われているなら石はあるんですよね、じゃあ取りますか…。手術の日程抑えましょう!」とかいきなり言い出すのでびびった。
取るのはまあ覚悟はしていたんだけど、この先生自体石を見ていないわけで(医師が石を見ず)、そんな状態で手術を決めるなんてことがあるのか。
そもそも仕事が落ち着きそうな時期でお願いしたい。
「すみません、12月に入ってからが仕事落ち着きそうなのですが」
というと
「なんだ急ぎじゃ無いのね」という事を言っていたので、黙っていたら早々に手術する気でいたらしい。石もまだ見ていないのに。
それから数週間、仕事の合間に手術のためにMRIを撮りに行ったり腹部エコーを撮ったりしてようやく最終的な診察の日に。
ここで初めて自分の胆石の姿を見るのである。
診察室に通されると主治医はモニタにエコーの写真を表示して待っていた。
「木村さん、これがエコーなのですが」
「ええええええこれ全部石ですか???ちょっと写真撮っていいですか??」
説明される前に食い気味に反応してしまった。まさかこんなにたくさん石が詰まっているとは思わなかったのである。
こちらのいい反応に気をよくしたのか、主治医も「MRIの方にはもっとしっかり映ってましてね…」とタメを作ってMRIを表示して、一旦こちらの反応待ちまでしてくれた。
臓器の場所が大体しかわからなくても石がめっちゃそこにある。
これだけ石があればいつ発作が起きてもおかしくない。
胆石発作はめちゃくちゃ痛いというのはよく聞いているのでそれはごめんである。
結果的には石を見ないうちから手術を決めた医師はグッジョブであった。
密かに万一石がなかったらどうしよう?手術するほどたくさん石が入っていなかったらどうしよう?と心配していたのだが、たくさんの石がぎっしり、僕も思い残す事なく手術を受けようという気持ちになれたのだった。
入院から手術まで
入院準備は特にすることもなかった。
が、現在フリーで仕事をしているので1ヶ月くらい前から幾つかの取引先に仕事ができない期間を伝えておいた。
発作が起きて急に手術だとこういう事は無理なのでこれも事前手術を勧めてくれた主治医に感謝である。
そんなこんなでわちゃわちゃ仕事などをしているうちにあっという間に入院当日。
入院当日は初めての経験でキャッキャしていたが、半日くらいですることがなくなってしまった。
病気さえ無ければまあ合宿感がある。
健常飯はまあまあ美味かった。
眠れないだろうという事で、入院前夜に夜更かしをしておいたせいで手術前夜はぐっすり眠れた。
いよいよ手術当日である。
手術自体は怖くなかった(全身麻酔なので怖がりようが無い)のだが、3つほど怖い部分があった。
ひとつは硬膜外麻酔。
痛いらしいと聞いていて全身麻酔でお願いしていたのだけど、手術の流れを説明しにくる看護師さんがなん度も硬膜外麻酔というので、本当に全身麻酔?と不安になってしまった。
もう一つは手術後に挿管を抜くのが気持ち悪いということで手術後の意識が戻る時。
最後は術後に尿道カテーテルを抜く時。個人的にこれが1番怖かった。どう考えても痛そう。
さて、いよいよ手術である。
手術室へ自分で歩いて入り、むちゃくちゃ狭いベッドに寝転がされ、酸素マスクをされてようやく「よし硬膜外麻酔じゃないな」と安心。
麻酔科の先生のドアップが術前最後の記憶。将来的にはVRで推しの映像が出て「手術頑張ってねー!」と送り出してくれるサービスができると思う。
手術中は特記することも無く。
術後まず怖かったのが管を抜く事だったので、手術後意識が朦朧としながらまず妻氏に聞いたのが「管は抜けてる?」だったそうだ。
よほど怖かったらしいが意識が無いうちに抜かれていたらしい。
これで手術で怖かったことは特に何事もなく2つクリアできた事になる。もうけた。
手術前の説明では「手術後半日は寝たり起きたりを繰り返して云々」という事だったのだけど、わりかし頻繁に目が覚めて、体が起こせないのが地味にきつかった。
さらに夜はお腹が下っていて便意との戦いがキツかった。
絶対安静との事で、まあおむつに漏らすしか無いのだけど「ワンチャン明日の朝まで持つのでは…?」「いやむりでしょ」とのせめぎ合い。
深夜1時に諦めてナースコールを呼び「すみません、便意が…」と伝えたところ、看護師も「絶対安静なのでおむつにして大丈夫ですよ!し終わったらナースコールをお願いします」とのこと。
幼児の頃以来久々にオムツ便であった。
恥ずかしさや申し訳なさもありつつ、他人にお尻を拭いてもらうのはまあまあ気持ちよく、複雑な気持ちであった。
お腹の調子が悪い時は一回では収まらないのはあるあるで、明け方にもまたお腹が痛くなり「さっき出し切ったと言ったのにまたお前は出してしまうのか」「ここは病院でこういうのには慣れているはず、遠慮する必要はない」と葛藤しつつ結局出してしまうのだった。
便意との戦いの一夜が明け、いよいよ体を起こしてカテーテルを抜きましょうという事に。
カテーテルは、抜く時はもちろん、男性特有のASADACHI時に痛いと聞いていたので、実は入院前日に2回ほどセルフプレジャーしておいた。
そのためか便意との戦いで疲弊したのかこの日のASADACHIは無かったのでとても助かった。
肝心のカテーテル抜きはあっという間で、まあちょっと痛いというかアヘアヘした感じで終了した。
下世話な話ではあるが、尿道カテーテルは男性の特殊自慰行為で使われると聞いて、ワンチャン気持ちよさのかけらがあるのでは?と興味があったのだがかけらも無く残念であった。
カテーテルを抜き終えたあと、妻氏からこの写真が送られてきて爆笑した。
という訳で全ての恐怖を乗り越えた自分は今悠々とベッドの上でこのブログを書いている。
今の憂鬱はごはんの粥がまずいということである。