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pero_peroのこじんてきなにっきです。毎日書きたいです。

融解するオタク・サブカル・ヤンキー ファスト風土適応論を読んだよ

本は3日くらい前に届いていたのだけれど、忙しくて読んでませんでした。
台風が来たので読んだよ。 

 

 

かなりターゲット層が狭い本だなと思いました。
いや、読みやすいし、どんな人が読んでもとても面白く読める本だと思うのだけど、想定している「読んでもらいたい人達」は明確にして狭そうです。
具体的に言うと、シロクマ先生と同じ時代を歩んできた『オタク・サブカル道を喰んできた人たち』とその周辺。
自分の判断基準を頼りに突っ走ってきたけれども、自分を取り巻く環境もだいぶ変わった。
世の中にライトな感覚の消費者が溢れ、どうも浮き出している気がする。
また、昔のように自分の嗜好に突っ走るにも限界が見えてきた。

そんな尖った矛先をどう収めていいのかわからない中年達へ宛てたお手紙なのです。

そうそう、あとがきを読んでシロクマ先生が僕と同い年ということを知りました。
僕はオタクやサブカルというほど尖った人間ではないのだけれど、おらが街的なコミュニケーションが不得意でネットに居場所を見つけた人間なので、「尖った人達の周辺」ということで、この本の想定ターゲット層から大きくズレていないのではないでしょうか。
シロクマ先生は、この本を僕のような人間が手に取ることを確信しているようで、なんだか手のひらで踊らされているようでちょっとイラッとしました。*1

 

2~30年前に比べて、生活圏の広がりや情報量の指数関数的な増加で、僕達の生活は非常に豊かに多様性に溢れるものになりました。
それなりの品がそれなりの価格で手に入り、それを幸せと感じる事ができる人たちにとってはとても幸せな時代なのかもしれません。
しかし一部の尖った人達、地方のカーストからドロップアウトしてしまった人達が、自分たちの個をぶつけ合う一線から退き、再び「ファスト風土」に飛び込もうとするのは勇気が必要です。
シロくま先生は、そういう岐路に立った僕らに「もうそんな年代じゃない」「自分で自分にとどめを刺せ」と語りかけます。
「特別でない自分を認めよう」そして「特別でない自分を愛そう」とも。
厳しい。
口調は柔らかいが、自分の能力に磨きをかけることで自分の個を形成してきた人達にとっては残酷な言葉ですね。
けれども、これは自分がそういう道をたどってきたからこそ言える厳しい言葉であり、今度はお前たちが同じような背中を後の人たちに見せるべきじゃね?という問いかけでもあります。*2

 

この本では「精神疾患まで商品選択する」サブカルの人や、手軽に手に入る肩書でアイデンティティを手に入れた気になってしまう人達についても触れられています。
そういえばはてなでは人間のありとあらゆる物をブクマやスターやPVといったものに交換でき、手軽に村民という肩書(そんなものを欲しがる人がいるのかわかりませんが)を得られるわけですから格好の観察対象ですね。

なるほど、シロクマ先生がはてな界隈ではてなーの承認欲求をツマミに酒を飲んでいる理由が分かったような気がします。

  

こういう分析本はややもすると上から目線に感じてしまうのですが、この本では一貫して読者と同じ目線で語られているように感じました。
それは同じ道を歩んで、悩み自問自答してきた(している)人だからこその語り口なのかもしれません。
本書ではソフトランディングをした先輩からのメッセージという形ではありますが、やはりシロクマ先生もまた自らの道を戦いながら進む途中なのですね。(勝手に共感を感じて終了)

 

しかしマダマダ噛み砕けてない部分があるのでもう2~3回読まねば。

 

*1:もっともターゲット層だから特定のキーワードが妙に響いただけでかもしれませんが。

*2:もっともシロクマセンセはそもそもコミュ力必要な仕事だったり、多趣味っぽいイメージなのでソフトランディングはし易い方だったんじゃね?とも思ったりもしますが。