メイソンジャーサラダを衛生的に作りたい
メイソンジャーサラダが話題である。
というかむちゃくちゃ叩かれまくっている。
衛生的にいろいろ問題があるのはわかる。
ただ個人的にはちょっと叩かれすぎじゃね?と思っている。
そもそも最も問題なのは「保存性が高く5日間保存できる」というところと「持ち運びOK」というところ。
ここが間違った状態で広まってしまったのは良くないんだけど、どうも「シャレオツ人類憎し」とか「メイソンジャー広めたい奴がいる陰謀論」とか別の感情がコラボレイトされて、メイソンジャーサラダ、ひいてはメイソンジャーサラダを作る人の人格否定までされている状態でおいおいちょっと尋常じゃないですよと。
人格否定は大げさでしょうと思うかもしれないですが、メイソンジャーサラダを作る人は衛生観念のない情弱だ、ニセ科学を信じてしまうような頭の弱い人間である、みたいな風潮まで出てきてどうもこれは異常事態ではありませんか?
サラダ声掛け:江戸っ子は、ジャーサラダにEM菌を投入して毎日「ありがとう」と声をかけることで、腐らない新鮮なサラダを食べる習慣があった
— 意識の低い人工知能 (@stdaux) 2015, 4月 28
な?コレはネタツイートだけど、これからメイソンジャーサラダ作りましたなんてことを言おうものなら、こういうような目で見られるわけですよ。
まあぶっちゃけこのツイートはクソ笑ったんだけど。
そもそも悪いのはジャーサラダではない訳で。
刺し身を弁当として持って行こうという行為が悪いわけであって、刺し身が危険な食べ物なワケじゃないし、家で刺し身を食う分には全然問題無い。
これはそもそも「刺し身をお弁当で持って行くとお腹が痛くなる予感がする」という知識が全国民に周知されているからなのであって。
だからみんなお刺身をお弁当に持っていかないし、刺し身でお腹壊す人がいても、刺し身は危険な食べ物だとレッテルを貼られない。のではないか。どう?
思うに生野菜の衛生的な問題というのはそこまで周知されていないものなんだと思う。
僕自身、会社にランチを持っていくようになって、いろいろ調べてみて生野菜を弁当として持って行くことの難しさを知ったわけで。
昔は弁当には生の葉っぱが敷いてあったり、プチトマトが鎮座していたり、ちくわにきゅうりを突っ込んだようないかがわしい物が入っていたり、生の野菜に関しての衛生意識は今よりもだいぶ低かったと思う。
また、コンビニにサラダが山ほど陳列しているのも「生野菜は衛生的にハードルが低い」みたいなイメージに一役買っている気がする。
なので繰り返しになるけれども、ジャーサラダにかんして衛生的な問題を突っ込むのは良いけれども、ジャーサラダは危険だから作るな!とか、ジャーサラダ作る人は衛生観念がない!というような必要以上のパッシングはいかがかな、と思う。
衛生的な問題があるならば、それをクリアする提案をするべきなんだけど、上記のようにメイソンジャーサラダを作る人は人にあらずという昨今の雰囲気では、素人お料理ブロガーが「メイソンジャー」とブログにしたためた瞬間にどんな恐ろしいことが起こるかわからない。
おそらくメイソンジャーサラダ狩りなるものがやってきて「汚物は消毒だー!!」と言いながら、冷蔵庫から引きずりだしたメイソンジャーサラダの瓶を火炎放射器で加熱消毒するのだろう。
そして家の壁や玄関には「コヤツはフリーメイソンじゃー」とかペンキででかでかと書かれてしまうのだ。
それが怖いので、メイソンジャーサラダに興味津々ながらも隠れキリシタンのように家でこっそり作っている料理ブロガーが少なからずいるに違いない。
一回叩く理由ができてしまうと何もかもが叩く理由になってしまうのはネットの怖いところであって、一番えぇっと思ったのが「ただオシャレなだけ」「人に見せてドやりたい」みたいな批判。
なんだよそれ、だってそもそも料理は見た目も含めて料理じゃん。
見た目がオシャレで見た人がテンションあがるなら十分やる価値あるじゃん。
あんたらだって食べ物の見た目でテンション上がることあったでしょ?
居酒屋で出てくる豚の角煮、白髪葱とか針唐辛子があしらってあったらちょっとテンション上がるっしょ?
コレでもかって巻き上げたイタリアンのパスタの立体的な盛り付けにさすがはプロやと唸ったことがあるでしょ?
鉄板焼き屋でステーキ焼かれながら目の前でフランベされたらおおおって叫ぶでしょ?
ケーキ屋さんのショウウィンドウに並ぶ色とりどりのケーキにどれも美味しそうだとさんざん目移りしちゃうでしょ?
エスプレッソからかわいい猫が飛び出てくるラテアートのツイートRTしてたでしょ?
子供の頃、お子様ランチのご飯に旗が立ってるだけでワクワクだったじゃない。
料理は見た目でも食うんです!
それを知ってるから、料理する人は見た目でも楽しんでもらうために色々工夫したいんです!
カッコイイ料理作ってドやりたいんです!
衛生的なこと気をつけるのでドヤらせてください!
それでいいですか!
そんなわけで、なんでこんなテンションなのかよくわからないけど、とりあえず前書きはここまで、メイソンジャーサラダを作る際に衛生的に注意したい所を備忘録として調べてまとめましたので、みなさんで色々創意工夫していきましょう。
冷蔵保存について
まず一番取り沙汰される「冷蔵で5日間保存可能」というところです。
残念ながらカットされた野菜に付着した菌が、2〜5℃の冷蔵庫の中で最近がどれくらい増殖するかというデータは僕の検索能力では見つかりませんでした。
が、東海コープが行ったこの実験はある程度参考にできると思います。
http://www2.tcoop.or.jp/security/library/b79ln30000000t8u-att/b79ln30000003prd.pdf
この実験では、カット野菜についた細菌が冷蔵後3日後から大幅に増え始めていることがわかります。
この実験は10℃での実験なので冷蔵庫の中としては温度が高い設定ですが、逆に言うと2日くらいまでは保存しても大丈夫そうですね。
冷蔵庫の温度のほうが低いのでもう少し持ちそうな気もしますが、実際の家庭では初期に付いている細菌の数が実験室よりも大分多いはずなので、3日目以降は見た目に変化がなくてもだいぶ菌量が多くなっていると考えたほうが良さそうです。
また、レシピサイトではみかけませんでしたが、ジャーポットを保存する冷蔵庫内の場所についても注意が必要だと思いました。
こちらの実験では浅漬の菌量について調べていますが、5℃と10℃で大分菌の増える量が変わっています。
http://www.iri.pref.kumamoto.jp/library/data/nousankakou/20sgken2.pdf
少しの温度の違いで大分細菌の増え方が違うようなので、できれば温度の低い安定した場所で保存したいです。
家電メーカーのサイトを見てみると庫内で結構温度差があります。
ドアポケットや野菜室は容量が大きかったり、瓶状の物を入れやすかったりするので、ついつい入れてしまいそうですが、ここは冷蔵庫の中でも温度が高めな場所。
冷蔵庫の一番奥に入れておくのが良さそうです。
氷温に近いとかなり細菌が増えにくいので、チルドが大きければそこがベストかもしれません。
調理について
調理についてはまあ切るだけなんですけど、ジャーポットだけでなくてまな板や包丁もしっかり除菌。
で、切る前に洗浄するのはもちろんですが、カットした後も洗浄出来るものは洗浄すると、まな板や包丁からの細菌を洗い流すことができるようです。
もちろん栄養については目をつぶりましょう。
また、この実験によると、洗浄の時に50度のお湯で洗うことで葉物などは特に細菌の数を減らすことが出来るようです。
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/36439/20141202144129302033/k6470_3.pdf
50℃洗いは野菜のしゃっきり感が増すのでオススメです。
瓶の消毒について
メイソンジャーのメリットとして煮沸消毒ができるということがあげられるのですが、その点をすっ飛ばして野菜を詰めるだけのレシピも結構あるみたいです(ココらへんが叩かれる理由の一つですね)。
煮沸消毒は面倒くさいのですが、まあ煮るだけっちゃ煮るだけなので簡単っちゃ簡単ですね。
時間も90度で5分煮ておけばいいらしいです。
http://www.pref.mie.lg.jp/WHOKEN/HP/syokutyudoku/p03.pdf
実はハイターみたいなので消毒すればもっと簡単じゃね?と思って調べてみたのですが、ハイターだと結局水で洗い流さなくてはいけなくて、その時に水やら布巾経由で細菌が付く可能性があると。
煮沸消毒なら予熱で水分が乾くので特にこちらのほうがオススメみたいです。
持ち運びについて
生野菜の細菌数 | 比べる×調べる | エフシージー総合研究所
これについてはもうグラフを見ただけでちょっと無理という感じなのですが、常温での持ち運びはやらないほうが良いですね。
まあ30℃で7時間って設定がなかなかまともじゃないですけど、8時に家を出て12時でも4時間ですから、半分とまでは行かなくてもボーダーラインの100万は超えてる予感はします。
クーラーボックス的なものを持ち歩ければ可能かもしれませんが、10℃以下で維持出来るようなクーラーボックスを持ちながら通勤はなかなか厳しそうです。
どうしても持って行くならば前日に作って近々に冷やして保冷バックに入れて職場の冷蔵庫にすぐ入れる、という感じでしょうか。
ドレッシングを入れたジャーを冷凍庫で凍らせる、という手はどうだ。
これなら保冷バックに入れればちょっとはマシなはず。
衛生的にメイソンジャーサラダを作る流れとまとめ
- 瓶を熱湯で5分茹で熱いうちに水気を切って清潔なふきんの上に置いて乾燥させる
- 野菜を綺麗に水洗い
- 熱湯で殺菌したまな板と包丁で衛生的に野菜をカット
- カットした野菜を50度の温水で洗浄
- 洗浄した野菜の水を切り風にあてて冷却&乾燥
- 冷えた野菜をジャーに詰め込む
- 冷蔵庫(一番奥かチルド)に入れて冷やす
- 持ち運びは極力しない(お家で食べよう)
- 2〜3日以内に食べる
それではみんな綺麗で安全なメイソンジャーサラダ作ってブログにUPしてね!
作ったらなるべく早く家で食えよ!
僕は書いてたらだいぶ面倒くさい感じになったので作る気が萎えました!
以上!!!